2012年9月9日日曜日

新世界より 読んだ

貴志祐介さんの作品、新世界よりを読んだ。
ハードブックでは上下巻、文庫化されて上中下の3巻とかなりの長編。
圧倒されるほどの世界観と展開、よくこんなに盛り込んだなぁと、ただただすごい物語だった。

読んだきっかけは、アニメ化されるからというのもあるが、それだけでは読まない。でないと、世の中のアニメ化される作品は全部読むハメなっている。多くのレビューで見かけた、これアニメ化していいの? っていう文句の真意を自分で確かめたかった、というのが大きな目的。

プロモーションなんかで映像化不可能といわれた作品なんてコピーをよく見るけど、読了した今、それは感じない。むしろビジュアル描写がしっかりしているので、読んでて絵が浮かぶほどだった。
問題は、放映できるレベルで描けるの? ってこと。まぁそういう意味を込めての映像化不可能なのかな……

まず、話の半分以上を十代前半の子供たちで進めている。
それはいい。いいんだけど、物語の中で人が争わないようにする方法として、関係がこじれないように本能でスキンシップを図るような遺伝子の改変? がされている人類で、十代前半の主人公たちが組んず解れつ……なんて描写もちょいちょい。ただ規則で男女が深い仲になってはいけないということがあるものの、浜辺で女の子同士が全裸で絡み合ったり、野外で男の子同士が69に励んだりと、なかなかに強烈。
ついに規則を破って、14歳同士で本番あり、なんてことも描かれてて、まぁこの辺は地上波には乗せないだろうと。
なにより、変異した動植物や昆虫が生々しく、終盤では血なまぐさいグロテスクな世界が繰り広げられ、絵にすると観ていられるかは描かれ方次第か。

争いのない、全人類が一方だけ向いた整列した世の中を作ってしまったら、違った方を向いた異端者がいれば抹殺することになる。今の状況がどうやって獲得されたのかを考える前に改革派はとりあえず処分。相手に核兵器を持たれる前に皆殺しにしたほうがいい。そんな構図がどれぐらい続くのか。危ないからと機密に封じていたことが、実は一番危険だったりと、一言で言えない深いストーリーだった。

10月からアニメが放送されるということで、楽しみだ。